立華だより 2023年5月
空を見上げて
毎年4月の新学期が始まる頃に、園庭に鯉のぼりを揚げています。横並びではありますが、吹き流し、お父さん(真鯉)、お母さん(緋鯉)、子どもたちと続きます。鯉のぼりを揚げるのは私の楽しみのひとつです。子どもたちは「きゃー!」と喜んでくれますし、大人も笑顔で空を見上げてくれます。保育者はついつい「屋根より高い鯉のぼり〜♪」と口ずさみたくなります。子ども達は鯉のぼりを見上げて「あれはお父さんで〜」「あれはお母さんで〜」と指を差し、私が「あれは◎◎さんだね」とその子の名前を言うと大抵「えへへ」と笑ってくれます。園庭に出ると子ども達は思い切り手を空に伸ばして、鯉のぼりを捕まえようとします。「うちにもあるんだー」と教えてくれる子もいれば、「私が小さい時に家にあって…」「うちにはないのですが兜なら」などなど、話しかけてくださるご父兄さんもいました。「鯉のぼりを揚げる」だけでも人との関わりや繋がりがこんなに増えるんだなと嬉しくなり、また、時代が変わっても昔から変わらずにあるひとつの日本の行事・文化を通してそれぞれに思いを馳せることが出来るって、素敵なことだなと思いました。
子ども達は新しい環境での生活に少しずつ慣れ、泣いて登園する姿も減りました。お友達と会える楽しみ、お外で虫を探す楽しみ、保育室でごっこ遊びをする楽しみ、大好きな先生に会う楽しみ。それぞれに何か興味のあるものを見つけ、楽しんで遊んでいる姿が見られています。幼稚園では4月に保育参観がありました。入園・進級したばかりの姿を保護者の方に見ていただき、1年間の成長を感じていただくねらいがあります。毎年、年少さんは保護者の方が来園すると傍に行きたくて保育室から出たり大声で泣いたりするのですが、今年の年少さんは殆どのお子さまが笑顔で保護者に「バイバイ」と手を振って挨拶をするという、先生達も驚きの姿を見せていました。それだけ先生達が子ども達に「楽しい」を感じて貰えるように、遊びや環境に工夫をしながら生活をしていることが感じられます。どんなことが好きかな?何に夢中になるかな?先生達は今まさに、子ども達ひとりひとりの興味関心を見出している最中です。沢山の「楽しい」「嬉しい」「やった!」が子ども達を大きく育てます。その経験の積み重ねの大きさを、1年で感じていただけたらと思います。